聖夜




本格的にエリクールに冬が訪れたある日、フェイトたちは寒さをしのぐ為にシランドへ足を向けた。
元々、賑やかなペターニとは違う雰囲気のあるシランドだったが、 今は何故か随分と華やかな雰囲気に包まれていた。
街の住民たちが色々と忙しそうにしているのを見ながら、 フェイトたちは首を傾げながらシランド城下へと続く架け橋を歩いていった。
 「何かイベントがあるのかな?」
 「そうかもね」
色々な飾り付けのされている周りをきょろきょろと見渡しながら、ソフィアは嬉しそうに呟いた。
 「アルベル、何か知ってる?」
アルベルは1番後ろをいつも歩いているので、基本的に前を歩くフェイトは振り返ってそう尋ねるが
 「知らねぇ」
と、あっさりと返された。
そうこうして歩いていると、先の方に見覚えのある人物が立っていた。
架け橋とシランド城下を繋ぐ城門の近くにいる女性兵士と話し込んでいるのは、ネルだった。
向こうもこちらに気付いたのか笑いながら手を振ってきた。
 「久しぶりだね」
 「久しぶり、ネルさん」
フェイトの方も笑いながら答える。
 「随分とタイミングの良い時に来たもんだね」
 「何かやるんですか?」
 「あぁ、今日はアペリスの感謝祭なんだ」
 「感謝祭?」
フェイトだけでなく、隣にいるソフィアやスフレも目を丸くして鸚鵡返しで問いかけた。
一体どういう事をするのかという問いに、ネルは笑いながら答えてくれた。
ネルの言う事だと、その感謝祭というのは冬でも食べ物に困ることなく生活できるという環境を、 それをもたらしてくれるアペリスに対して感謝をするというような内容だった。
 「毎年この時期は賑やかなんだ。夜から本格的に始まるから、 時間があったら見に行くのもいいと思うよ。感謝祭は自慢できる行事の1つなんだ」
そう言うネルの表情は、どこか誇らしげだった。



 「何かさ、地球で言うクリスマスみたいだよね?」
最後の準備で忙しいというネルが去った後、宿屋に向かう途中ソフィアが思いついた様に話し出した。
アルベルにとってそれが何なのか分からなくて首を傾げている中、 フェイトたち10代の皆が楽しそうにソフィアの言葉に乗る。
普段は大人びているマリアでさえ、楽しそうにはしゃいでいた。
地球人ではないスフレもそれを知っているらしく話に乗っている。
同じくクリスマスが何なのか一応知っているクリフがアルベルに教えようかと思い、 口を開きかけたが、アルベルは興味なさそうにさっさと部屋へと入って行ってしまった。






夕食が済んでから、部屋に戻ったアルベルはぼんやりと窓の外を眺めていた。
もう既に辺りは暗く、幾つもの灯りが燈されている外は感謝祭というだけあっていつになく外の声が聞こえてくる。
何日も前から準備されているだけあって、至る所に目を見張るような装飾が施され、 見ているだけでも雰囲気を楽しめそうだった。 ちょうど窓から見える、シランド城へと続く大通りには大勢の人が集まり、笑い、踊り合っている。
その中にはフェイトたちや、ネルも混じっていた。
1番目立っているのはスフレで、得意の踊りを披露して多くの人々から喝采を浴びていた。
 「アルベルは行かないのか?」
そういう言葉と共に部屋に入って来たのはクリフだった。
アルベルは振り返らずに、一度窓に反射して映るクリフに視線を移す。
そのクリフは窓から動かないアルベルへと近付き、その後ろへと立った。
 「行かない」
小さな声ではあるが、断固とした意思のこもった声で呟いた。
クリフは窓に映るアルベルの顔を窺ってみるが、長い前髪のせいでよく分からない。
しかし薄い唇が皮肉な笑みの形を作るのが見えた。
 「アペリスの感謝祭、か。神のお陰で冬も豊かに暮らせるだと?笑わせてくれる。 たまたまここが気候に恵まれた土地だというだけなのにな」
アルベルは神など信じていない。
もし本当にいるとしても、決して彼は絶対にその存在に寄り掛かったりはしないだろう。
同じく無神論者のクリフは宥めるように笑って見せた。
 「そう言うな。確かにアルベルの言う通りだけどよ、シーハーツの奴らだってそれを分かってるのもいるだろうし。 それでも何かに感謝したいんだと思うぜ?その対象が神なんだろう」
このクリフの言葉に、アルベルは分かっている、とだけ言ってそのまま黙り込んだ。
クリフもその沈黙に付き合う。
自分から何か話し掛けようとは余り考えていなかった。
どれ位の沈黙が続いたのか。
先に口を開いたのはアルベルだった。
 「・・・俺には綺麗過ぎるな」
 「・・・・・・」
外の景色を眺めながらの、吐息に乗せるような声。
クリフは無言で後ろからアルベルをそっと抱き締めた。
窓の映るアルベルの顔を見てみると、今度は表情が見えた。
外を見ながらも、どこか遠くを見ている、寂しげとも自嘲とも見える、何とも言えない表情。
 「そうだな」
 「・・・?」
 「俺もこういう空気はどうも馴染めねぇな」
アルベルはクリフと同じ様に窓に映るクリフを眺め見た。
 「俺はフェイトたちより長く生きてるしな。立場上色んな汚い事もやってきた。 戦争で大勢の人間をその手にかけたアルベルと同じ様に、俺も、今まで大勢の人間を殺してきた」
 「・・・・・・」
真面目な顔で語るクリフを、アルベルは直接ではないがじっと見つめる。
 「だからだと思うが、こういう空気は自分が浮いているように感じてしょうがない」
最後の言葉は、苦笑しながらだった。
クリフの腕の中で大人しくしていたアルベルは、ふと身体ごと振り返る。
紅と青の視線が合わさると、ゆっくりと唇が笑みを形作る。
 「所詮、あんなものは偽善だ」
両手をクリフの頬に挟むように置いて、そう言った。
笑いながらクリフはそんなアルベルの唇に触れるだけのキスを送る。
一度離れてから、今度は啄ばむようなキス。
もう一度離れて、クリフはアルベルの顔を覗き込んでみる。
アルベルは艶のある笑みを浮かべていたが、ふと不思議そうな表情を浮かべた。
 「・・・そういえば、クリスマスって何なんだ?」
 「あぁ、地球の、昔からある行事だ。確か聖人キリストの誕生際だったかな」
クリフの答えにアルベルは呆れた表情になる。
 「何処も似たようなもんだな」
 「そうだな」
もうこの話は終わりだとばかりにクリフはアルベルの細い腰を引き寄せる。
ぴくりと反応してアルベルは顔を上げた。
 「俺たちは俺たちらしい事しようぜ?」
クリフは笑いながらアルベルの耳元で囁く。
甘い睦言のように囁かれた低い声にアルベルは背中がぞくりとするのを感じた。
これから起こる事を考えたのか、恥らう様に動きを止め無防備になったアルベルの唇に、 クリフは自分の唇を重ねる。
軽く啄ばんでからゆっくりと舌で歯列をなぞる。
小さく声を漏らしたアルベルの舌をクリフの舌があっさりと絡めとる。
クリフの頬に置かれていた両手はいつの間にか縋るように首に廻されていた。
お互いの唾液が混ざり、舌が奏でる水音が辺りに響く。
収まりきれずにアルベルの口の端から銀の糸が溢れ出した。
貪るように口付けを交わす2人は全くそれに気付かない。
水音が外から聞こえる声を覆ってしまう程大きく響きだした時、 苦しくなったアルベルがクリフの服をきつく握り締めた。
それに気付いたクリフは名残惜しそうにゆっくりと離れた。
互いの舌を繋ぐ銀の糸を切り、クリフは自分の唇を舐める。
アルベルは酸素を求めて肩を上下させながら無意識にクリフの舌の動きを追った。
その行動がクリフの扇情を煽る事をアルベルは自覚していない。
頬をピンク色に染め、瞳を潤ませるアルベルに、クリフは更に興奮した。
 「アルベル」
欲に染まりもう既に掠れている様な声に、まるで獲物を見つけた狩猟者の様な瞳。
背中から腰にかけて骨ばった大きな手で撫でられ、何ともいえない感覚が全身に走った。
アルベルはそんなクリフに何処か心地良さを感じながら、 クリフの厚くて逞しい胸に身体を摺り寄せる。
 「クリフ・・・」
クリフの名を呼ぶアルベルの声も、同じ様に情欲に染まっていた。
互いの声に煽られた2人は、外から聞こえる声を背に、身体を求め合う。
窓に映る2人がそのままベッドへと沈み込んで行った。






中途半端に終わってしまいすみませ・・・;;
肝心な部分が無いというか・・・でも期待したとか言ってくれる人っていますか・・・?

・・・エロ書くのが出来ない・・・(泣)
見るのは好きだけど、いざそれを自分で書くとなると恥ずかしいというのもあるし、
人に見せられる程のものは書けなさそうだし、
何より、エロを「書く」為の知識(・・・)が充分じゃないような・・・
うーー、どうすればいいんだー!!
しかも今回、クリフとアルベルの2人の会話を書くまでの話の展開がかなり無理矢理で痛いです;;
凄い無理してるのがバレバレで・・・
2人の場面も最初に考えていたのと違う展開になっていってどうしようかと思いましたし。
でも行き着くところは一緒だったので安心しました。

そうだ、聖夜ってホントはクリスマスの前夜、つまりイヴの事ですよね?
思いっきりクリスマスじゃない上に当日・・・それよりも余りお題に沿ってない感じが・・・


いつかこっそりこの続きを書きたいなぁ・・・・・・って、あとがき長!!


2005/1/7




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